VIRL: 最新 August release (virl.0.9.280) へのバージョンアップ手順

注: April release へのバージョンアップとほぼ同様ですが、若干手順が異なるので注意してください。

こんにちは ccieojisan です。

先日 VIRL August Release (virl.0.9.280) のアナウンスがありました。今回のバージョンアップでは下記のような点が変更点になっています。

  • IOSv 及び IOSvL2 で CPU 負荷が軽減された
  • IOSvL2 では下記の機能が使えるようになった
    – Vlan Access Maps(VACLs / access control lists for vlans)
    – ACL functionality for both layer2 and layer3 protocol packets
    – Dynamic Trunking Protocol support
    – Switchport protected mode
  • NXOSv では NXAPI 及び MPLS LDP がサポート
  • LXC support。LXC(LinuX Containers) によりコンテナとして稼働できるため、二つ目以降のインスタンス起動に少し時間はかかるが、メモリ/CPU消費が軽減される
  • GNS3の設定ファイルがインポート/エクスポートのサポート(完全ではなく、一部手動でどうも修正が必要)
  • VRF-Lite on Mgmt networks。管理用インタフェースとして vrf Mgmt-intf をデフォルトで使うように変更された
  • Live Visualization major update。LXCを使って動的に Visualization が変わるようになったらしい。色々と仮想ルータ等からARP情報などを取得して Visualization 画面上で見れるようです。(試してみないとよくわからないので、またバージョンアップ後色々試してシェアしますね)
  • UWM(User Workspace Manager)の各種機能追加。(GitHub との連携が素敵な気がするが、これも後日試してみます。)

それでは April release(virl.0.9.242) -> August release(virl.0.9.280) のアップグレード手順を紹介します。

April release (virl.0.9.242) は 9/14 までのサポートのようなので、早めにバージョンアップしましょう。

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1.はじめに

前回の April release へのバージョンアップと同じく、In-place upgrade でバージョンアップをします。

August release でのコンポーネント情報。Openstack が Icehouse のままなの以外は、バージョンアップしてますね。

Openstack Icehouse
VM Maestro 1.2.3 Build Dev-288
AutoNetkit 0.18.1/0.18.9
Live Network Collection Engine 0.6.11
VIRL STD 0.10.17.7

仮想ルータのバージョンは下記になります。全てバージョンアップされてます。VIRLの良いところは最新のバージョンが使えるところですね。

IOSv – 15.5(3)M image
IOSvL2 – 15.2.4055 DSGS image
IOSXRv – 5.3.1 image
CSR1000v – 3.16 XE-based image
NX-OSv 7.2.0.D1.1(121)
ASAv 9.4.1
Ubuntu 14.4.2 Cloud-init
Ubuntu 14.4.2 LXC
iPerf LXC

2.In-Place Upgrade

既に VIRL VM を作っており、April release を使っている人のためのアップグレード方法になります。

念のため、バージョンアップの前に VIRL VM のファイル一式をバックアップすることをオススメします。

2-1.バージョンの確認

まずは VIRL VM を起動して、VIRL VM の IPアドレス へアクセスしてください。例: http://192.168.229.128/
User Workspace Managementをクリックしてください。

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ログイン画面が表示されますが、ログインしなくても画面下に下記表示があるはずです。

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下記が今までリリースされたバージョンになります。

User Workspace Management 0.10.10.18 == Dec’14
User Workspace Management 0.10.13.11 == Feb’15
User Workspace Management 0.10.14.20 == Apr’15
User Workspace Management 0.10.17.7 == Aug’15

上記から、0.10.14.20 と表示されているので、現在のバージョンは April release だと分かります。

UWM に uwmadmin/password でログインして、左メニューの “Salt status” をクリックします。

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次に表示される画面で、下記どちらかが Masters の項目に表示されているのを確認してください。

  • us-virl-salt.virl.info
  • us-virl-salt.virl.info

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2.2 アップグレードオプション Full or Quick

アップグレードは下記のどちらかが選べます。

  • Full : VIRL 及び Linux システム(Ubuntu)をアップグレード ※推奨
  • Quick : VIRL のみアップグレード

本記事では、推奨の Full で進めます。

2.3 Full アップグレード手順

まずは VIRL VM を起動させた状態で、SSH で VIRL VM へログインしてください。※必ずシミュレーションが動作していない状態になるよう、一旦 VM を落として、起動直後から始めてください。

SSHセッションが切断された場合などでもインストールが続行されるように、screen を使うことが推奨されているので、インストールします。

virl@virl:~$ sudo apt-get install -y screen

screen セッションを開始します。

virl@virl:~$ screen

下記表示が出るので、プロンプト表示に戻るまでスペースキーを何回か押してください。

 [Press Space for next page; Return to end.]

これでもしSSHセッションが切れたとしても、ログインし直して screen -r を入力するとインストールを再開できます。

UWM にログインし、左メニューの “Projects” をクリックします。

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guest 以外のアカウントをチェックして、export をクリックします。”Save as JSON” を選択。

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下記のようにブラウザの左下とかでファイルが保存されていれば OK です。
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次に guest にチェックを入れて Delete をクリックして削除します。※ guest はアップグレード内で作成されます。

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確認画面が表示されるので、Delete をクリック。

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次の緑の表示が出れば無事削除完了です。

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/etc/virl.ini の内容をチェックし、ファイル内の下記の二行が異なる場合は下記に合わせます。※プロキシは使わない前提としてます。

hostname: virl
proxy: False

DHCPではなくスタティック(静的)にIPアドレスを設定している場合は、UWMの System Configuration Controls から枠の中の部分の設定が正しいことを確認しておいてください。※画面は DHCP の設定になっているので注意。

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やっと、アップグレードです。次のコマンドを順番に実行します。

virl@virl:~$ sudo salt-call test.ping
local:
    True

“True” と表示されていることを確認してください。True と表示されない場合は、VIRL VM から Cisco Salt Master server への接続に問題があります。

virl@virl:~$ sudo vinstall vinstall
virl@virl:~$ sudo salt-call saltutil.sync_all
virl@virl:~$ sudo vinstall salt
virl@virl:~$ sudo vinstall upgrade

上記コマンドを実行すると、エラーが出る場合が無視してください。インターネットの回線及びUbuntuのレポジトリとの通信環境にもよりますが、30-40分くらいかかります。

動いているか心配な人は、別ウィンドウで SSH で VIRL VM へアクセスし、top コマンドで ‘dpkg’,’salt-*’,’pip2′ とか ‘apt-get’ というプロセスが上の方にきているのを確認できます。

スクリプトの実行が終了すると、自動で再起動されるか、下記コマンドで手動で再起動を行います。

virl@virl:~$ sudo reboot

VIRL VM が起動してきたら、もう一度 SSH でログインをして下記を実行します。

virl@virl:~$ sudo vinstall bridge

上記実行後に、エラーが見受けられるかもしれませんが、無視します。

virl@virl:~$ sudo reboot

そしてもう一度再起動します。

2.4 新 VM image のインストール

VIRL VM が起動したら、VIRL VM の IP アドレスへブラウザでアクセスします。例 : http://192.168.229.128/
そして User Workspace Management をクリックします。

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VIRL Software をクリックします。

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Username / Password を聞かれたら、uwmadmin/password を入れて ログインします。次の画面が見えるまで少し時間がかかります。

“Cisco VM image upgrades” のところで、右側にチェックボックスがあるイメージの全てにチェックを入れて、”Start installation” をクリックします。

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上記全てアップグレードするのに、私の環境では 2時間15分 くらいかかりました。各イメージの所要時間は下記画面を参照ください。

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OK をクリックします。

次に LXC イメージをインストールします。右側のチェックボックスにチェックを入れて、”Start installation” をクリックします。

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こちらは 10分程度で終わりました。

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OK をクリックします。

3. VM Maestro のアップグレード

VIRL をバージョンアップすると、VIRL を操作する VM Maestro もアップグレードをする必要があります。

下記のステップの前に現在インストールされている VM Maestro をアンインストールしておいてください。

VIRL VM の IPアドレスを使って、http://192.168.229.128/download にアクセスします。下記画面が表示されるので、64bit版のファイルをダウンロードします。※ご使用に環境によりダウンロードするファイルは異なります。

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ダウンロードしたファイルを実行します。下記の手順でインストールを行ってください。

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上記 Finish をすると、VM Maestro が起動します。初回起動時は下記ダイアログが出るので、Remember my decision にチェックを入れて Agree しときます。

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User Experience Improvement のダイアログも表示されるので、好みに合わせてチェックして OK で次に進んでください。

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Server に VIRL VM のアドレスを入れて OK で進みます。アドレスを入れた後に “All web services are verified” の表示になるのを確認しておきましょう。

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subtypes のリストを下記手順で更新します。File->Preferences->Node Subtypes を選択し、下記画面になります。

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Restore Defaults をクリックし、ポップアップで OK を押し、Apply を押します。

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続いて Fetch from Server をクリック、ポップアップで OK を押し、Apply -> OK します。下記は Fetch from Server した後の画面ですが、LXC など新しいものが追加されているのが分かります。

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最後に必要であれば UWM の Projects から最初の法でエキスポートしたプロジェクトファイルをインポートしてください。

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上の手順では uwmadmin をエキスポートしていたんですが、特に変更もしていないので、私はインポートしませんでした。

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試しに IOSv を 2台 起動してみましたが、問題なく起動し、下記の通りバージョンも 15.5(3)M で新バージョンになってます。

iosv-1#sh ver | i IOS
Cisco IOS Software, IOSv Software (VIOS-ADVENTERPRISEK9-M), Version 15.5(3)M, RELEASE SOFTWARE (fc1)
ROM: Bootstrap program is IOSv
Cisco IOSv (revision 1.0) with  with 484729K/37888K bytes of memory.

以上が August release へのアップグレード手順でした。色々と機能追加されている部分は時間を見つけて試してまた、書きたいと思います。

ではでは。